県は「重度の障害障害者を含め、民間での受け入れ先のめどが立ったため県立施設としての廃止を決定した」と言いますが、加藤県議団長からは「センターが『公の施設の見直し方針』に沿って『行革』の対象になっているのが大きな背景ではないか」と指摘。利用者の立場ではなく、財政削減を進めたい県の思惑があるのではないかと問い質しました。
対応した県障害福祉事業課長は「県立施設としての建替えという選択肢もあったが、民間でできるということであれば大規模な施設で一か所に集めるのではなくてそれぞれの地域で受け入れてもらうほうがよいのではないかということになった。県立でなければならないということはないのでは」と答えました。しかしこれはこの間の経緯を考えても逆さまの言い分です。
2013年に起こった職員による利用者への虐待死亡事件を受けて、センターでは一人ひとりにきめ細かな支援が行える「少人数ケア」の実現を目指して改革を進めてきました。
ところが県は入所者の地域移行=定員削減は進めるものの、少人数ケアが可能となるようなセンターの抜本的な建て替えなど将来像をまったく示してきませんでした。こうした県の姿勢は第三者検証委員会やセンターの見直し進捗管理委員会など外部の有識者からも厳しく指摘されてきたことです。
センターの将来をどうするのかということについて県の主体性がまったく見えないもとで、「このままでは県立施設としての存続の是非を判断せざるを得ない」と厳しい評価を受けていたにも関わらず、県はまったく手を打とうとせず今回の廃止の方針を決定しました。結局、県が主体的に決定したのはセンターの県立施設としての廃止という方針だけだと言わなければなりません。
そして廃止という方針が決まった途端に、「重度の強度行動障害のある方への支援システムの構築」「暮らしの場支援会議の設置」「民間事業者による受入環境の整備についての補助制度の創設」など利用者を民間に移行するための様々な施策を打ち出しました。こうしたことをなぜ最初からやらなかったのか。
つまりは最初から「廃止ありき」で進めてきたからではないでしょうか。「民間の受け入れ環境が整うなら県立施設ではなくてはならない理由はない」などと言いますが、現に袖ヶ浦福祉センターに居続けたいという利用者がいる以上、県立施設としての存続・拡充を図るのは当然のことです。
もちろん大規模な施設で一ヵ所で管理するやり方がいいわけではありません。意思決定支援など利用者の意向をよく聞いたうえで、小規模分散型の施設に建て直すこともできたはずです。ちょうどニュースでやっていましたが、神奈川県の「津久井やまゆり園」は総定員は確保しながら2ヶ所に分散して建て替えたうえで、「全室個室」「地域との交流スペースを設置」など利用者の立場で改善を図る方向を示しています。千葉県との姿勢の違いは明白です。
2年後の廃止という期限だけ決めて利用者の移行を進めれば、必ず無理な追い出しにつながります。現に県から紹介された移行先を確認に行った利用者からは、「更地だけ見せられ、施設(グループホーム)はこれから建てる、それなのに今月中に申込書を書くように言われた」という怒りの声が上がっています。