千葉県議会健康福祉常任委員会が開かれました。


指定管理などの議案6本、子ども医療費助成の拡充や認定こども園の無償化、県がんセンターへのハイパーサーミア(電磁温熱治療器)の導入など請願3本、意見書4本の審査とともに、一般質問では予告通り無料低額宿泊所の問題について県の現状と認識をただしました。関係者のみなさんに傍聴にもお越しいただき励まされました。


今年5月1日時点で千葉県所管(政令市・中核市である千葉市、船橋市、柏市は別)の無料低額宿泊所は38ヶ所、1718人の定員に1453人の入所者がいますが、このうち18施設・定員759人をNPO法人SSSが運営しています。


無料低額宿泊所はあくまで一時的な利用が原則であり、3カ月以内で自立に向けた指導をすることになっているにもかかわらず、1年以上入所している方が1016人と全体の7割に上ります。


さらに昨年度、819人の退所者のうち「失踪」という方が226人もいました。県は「退所者の具体的な状況はつかんでいない」と述べましたが、多くは劣悪な環境に耐えかねて逃げ出したと考えるのが普通です。失踪者を出している施設の多くが、「大規模管理型」と言われる無料低額宿泊所です。


特にこうした大規模無料低額宿泊所の多くが、ベニヤ板等で一つの部屋を区切り2つの部屋にした「簡易個室」となっています。全国で78施設、約3200室ある簡易個室について、千葉県の数を聞いたところ10施設、406室(県全体の25%)に上ることが明らかになりました。全国の8分の1の簡易個室が千葉県に集中していることになります。


こうした簡易個室への認識について、県は「プライバシー保護の点などから問題があるが、国で基準づくりが行われており推移を見守りたい」と国まかせの姿勢を示しました。


しかし千葉県弁護士会の会長声明でも「このような住環境では人間らしく生活することはほぼ不可能」と指摘されているように、こうした施設を許容すること自体が問題です。特に最大手のSSSは、ホームページで見る限り県内で運営している24施設のうち簡易個室がある施設が13施設と半分以上です。県の姿勢が問われます。


いまでも県のガイドラインは千葉市や船橋市に比べて甘くなっています。法的拘束力はありませんが、千葉市のガイドラインは簡易個室を原則認めておらず、施設規模も50人以下に限定しています。船橋市では4畳半以下の面積基準を認めず、入浴も毎日できるよう義務付けています(県は週3日)。「地域の実情に応じて策定した」などということで済まされるものではありません。利用者の立場に立っていないことの何よりの表れです。


少なくとも簡易個室については「経過措置」や「段階的な解消」を認めず、最低基準で明確に禁止すべきです。国の方でも検討会の議論が続いていますが、千葉県でも引き続き取り組みます。