千葉県議会決算審査特別委員会6日目。6日間に渡った部局ごとの審査も今日が最終日。水道局、教育庁、出納局の審査が行われました。



○水道局
水道局では中期経営計画(2016年度~2020年度)に基づく水需要見通しと水道管路の耐震化、給配水管の緊急修繕工事について聞きました。県営水道の昨年度の一日最大給水量は103.3万トン、一人当たりにすると341リットルでした。計画最終年である2020年度の見通しはどうかというと一日最大給水量は約113万トン、一人当たりで375リットルも使用する予測になっています。


あと2年でどうやって一日当たり10万トンも使う水が増えるのかと聞いてもまともに答えられません。「歴史的な猛暑もあり、今年度は7月に一日最大104.9万トンを記録し24年ぶりの水準になった」と言いますが、それでも目標とは8万トンも乖離があります。


この20年間で一日最大給水量が104万トンを超えたのは今年と2001年ですが、この時の給水人口は現在より30万人も少ない272万人でした。一人当たりの一日最大給水量は383リットルと今より一人が使う水の量がずっと多かったのです。節水機器の普及などにより一人当たりの水使用量は減り続け、給水人口が増えても給水量は増えないという状況になっています。


今までは「単身世帯の増加や高齢化の進展で在宅時間が増えるなどにより、今後も水需要は増える」と言い続けてきましたが、今回は一言も言うことができませんでした。水道局の中期経営計画そのもののなかでも「1人当たりの水道使用量は、近年減少傾向にあり…この傾向は今後も続くと見込まれることから給水収益の大幅な増加が望めない状況」と認めています。


それでもなおこの過大な計画にしがみつくのは今後完成する八ツ場ダムが必要だと言い続けるためでしかありません。そのつけを支払わされるのは県民です。


水道管路の耐震化については2020年度までに23.8%、そのうち重点的に取り組む湾岸埋立地域では51.5%まで完了させることになっています。昨年度までの実績は20.5%の年度目標に対して20.7%と達成しているように見えます。しかし実際には水道管の更新など他の事業によって行われたものもあり、耐震化事業そのものでは70㎞の目標に対して65.4㎞と5㎞程足りません。一昨年も同じくらいの距離を残しており、こうした目標との差が積み重なっていけば最終的な大きな乖離が生まれてしまいます。


千葉市では震度6以上の地震の発生も確実視されており耐震化のペースそのものをもっと早める必要がありますが、少なくとも自ら掲げた目標は着実に達成できるようにすべきです。


水道局の給配水管の緊急修繕工事についてはこの間匿名の情報提供があり、一部の業者に発注が集中しているということでした。たしかに2015年度、2016年度では11地区のうち6地区、昨年度も5地区で特定のファミリー企業に集中しています。


県は「入札の結果であり、結果として特定の業者に集中することはある」と答えましたが、これらのファミリー企業は東日本大震災の緊急復旧工事でも大きなシェアを取っており、2011年度は555件中421件と8割近くを受注しています。県民の目から見れば不自然なのは明らかです。過去の経緯を含めて調査を求めました。



○教育庁
教育庁(教育委員会)では、深刻さを増す教員の未配置問題、スクールソーシャルワーカーの配置、学校施設の老朽化対策、障害者雇用率の水増しについて聞きました。


法に基づく定数を満たさない教員の未配置は昨年度、小中学校、義務教育学校、県立高校、特別支援学校あわせて4月に81人、10月に62人、3月に98人と年間を通じて解消が図られませんでした(千葉市を除く)。


県教委は「速やかな講師の配置に努めている」と言いますが今年度はさらに増え、4月で127人、10月に105人となっています。なぜこうした状況になっているかといえば、本来必要な教員を正規採用せず、1年限りの契約の講師(臨時的任用講師)で定数=必要な教員数を賄っているからです。


県教委はこうした講師を定数内欠員補充講師(定欠補)として配置していますが、昨年度と今年度を比べると未配置で特に増えているのはこの定欠補です。年度途中での急な退職や休職などにより、その都度講師を探すということになればそう簡単に見つかるわけはありません。結果として担任がいないまま、教務主任や教頭が代わりを務めているなどの実態もあります。


正規教員の採用を思い切って増やすことが必要ですが、新規採用数は全校種あわせても昨年度で1421人、一方で臨時的任用講師は2926人と新規採用数の2倍以上です。特に小学校は1599人と2017年度から千葉市の採用が別になったにも関わらず、この5年間で最多になっています。不安定で安上がりな一年限りの講師に依拠する体制をいつまで続けるのか、真剣に打開を図るべきです。


また産休・育休補充講師の未配置も増えていますが、産休・育休取得者は事前に申し出があり、どのくらい必要なのかはわかるはずです。あらかじめ県教委として必要分の講師を確保し、休みに入ったタイミングで配置すればこうした未配置は起きないはずですがそれすらもやりません。これは県教委の責任放棄です。


実際に休んでいる先生からは「自分の代わりの先生が配置されずに学校内で少人数加配の先生が充てられており、そちらにしわ寄せが行っているのが申し訳ない」という声が寄せられています。こんな思いをさせていいわけがありません。抜本的な見直しを求めました。


教職員の障害者雇用率についてはこの間、県教委が二度に渡って算入誤りを報告し、「障害者手帳の未確認」「算入対象外である週20時間未満の短時間勤務職員の算入」「本人の同意なく障害者控除の申告等を基に参入」など、本来障害者雇用率に加えてはいけなかった人を昨年度で110人、今年度で103人も加えていたことが明らかになりました。教育委員会のなかでは全国でも5番目の多さです。


これにより昨年度は法定雇用率2.2%に対して実際の雇用率は1.69%、今年度は法定雇用率2.4%に対して実際の雇用率は1.56%と大幅に下回ることになりました。


問題はなぜこうしたことが起こったのかです。県教委は「厚労省のガイドラインの理解が足りず、誤って解釈していた」と言い訳しますが、県教委が各教職員に毎年送っている「個人調査票」には障害者手帳に基づいて障害区分や障害の級を記載する欄があり、どうチェックしていたのかが問われます。


さらに今年6月の厚労省の通知によって「障害者の任免状況の通報に関するチェックシート」を通報書とともに都道府県労働局に提出することになっていましたが、このチェックシートには「障害者手帳(原本又は写し)を確認しましたか」「1週間の所定労働時間が20時間未満の職員は算定から除外していますか」という項目があり、県教委としてこれらにチェックをして千葉労働局に提出していたことも明らかになりました。ガイドラインの理解云々の話ではありません。


県教委は「理解が足りなかった。再発防止に努める」と繰り返しましたが、結局数合わせでやっていたことの何よりの証明です。算入誤りではなく意図的な水増しと言われても仕方がないことであり、反省はもちろんですが徹底した原因究明が必要です。この問題は引き続き12月議会でも取り組んでいきます。



最後の決算審査特別委員会は12月議会の本会議初日に開かれ、討論と決算認定の採決が行われます。各部局の審査を通じて県政の様々な問題が浮かび上がりました。どの分野でも県民のくらし第一へと抜本的な転換が急務です。