9月定例千葉県議会は今日まで本会議でした。一般質問後、議員発議で提案されている「千葉県文化芸術の振興に関する条例の制定について」の質疑に日本共産党から三輪由美議員が登壇しました。


180928みわ質疑1


昨年6月に文化芸術振興基本法が改正され「文化芸術基本法」が制定されたことを受けて、県議会で条例制定のための超党派の検討委員会が開催されてきました。当初、日本共産党も検討委員会に加わっていましたが、本来全員一致が前提である検討委員会で最終的に一致できない条例案が提案されたため離脱することになりました。今議会にはその検討委員会で確認された条例案が提出されました。


言うまでもなく、県民が広く親しむことのできる文化芸術の振興を図ることは重要です。そのために県としての責務を果たすことなど、条例案で掲げている内容は評価できるものもあります。


しかし最大の問題は、前文で「私たちは、郷土への誇りと愛着を深め、先人が創りあげた文化の継承と新たな創造を決意し、この条例を制定する」とあるように、個人の内心の自由に踏み込む「郷土への誇りと愛着を深め」という表現が入っていることです。


この文言は文化芸術基本法にも県の文化芸術振興計画にもないものです。7月に行われた条例案へのパブリックコメントでも差し替えを求める意見が出されていました。それなのになぜわざわざこうした文言を入れたのか。


三輪さんの質問に答弁者は、「県民に郷土への誇りと愛着を持ってほしいと呼びかけるものであり、特定の価値観を押し付けるものではない」「地域では伝統文化・芸能の継承に苦慮しているものもあり、誇りと愛着を持ってもらうことはそうした伝統文化・芸能を継承していくためにも重要」などと答えましたが、いくら「押し付けない」と言っても条例上にこうした表現があれば内心の自由に触れることになります。そもそも文化芸術の振興と、郷土への誇りと愛着を深めることはまったく別の概念です。


条例案には文化芸術の「産業その他の各関連分野における施策との有機的な連携」や「民間事業者」の活用も謳われていますが、この点も懸念があります。国の「骨太の方針2018」では「稼ぐ文化への展開、文化産業の経済規模の拡大」が打ち出されており、文化芸術が利潤追求に歪められる恐れがあります。


条例案は閉会日に採決が行われますが、このままでは賛成するわけにはいきません。真に文化芸術の振興に資する条例にすべきです。