今年度3回目の千葉県国民健康保険(国保)運営協議会が開かれ傍聴してきました。


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千葉県国保運営協議会で挨拶する葉岡部・県健康福祉部次長


本日の最大の議題は来年度からの都道府県単位化(広域化)に向けて県が定める国保運営方針(案)の策定です。


運営協議会委員や各市町村、パブリックコメントで寄せられた意見をもとに骨子案から修正・加筆された運営方針(案)が県から示され、議論ののちに運営協議会として「適当」と答申されました。


運営方針(案)には冒頭、新たに「策定の背景」という項目が設けられ、「低所得者の加入者が多く、医療費水準が高い」という国保の構造問題の解決が広域化の目的であることが明記されました。これは社会保障推進千葉県協議会のみなさんなどがパブリックコメントに寄せた意見が反映されたものです。当初提案された運営方針骨子素案の段階では「社会保障制度」という文言すらありませんでしたが、それもこの部分に盛り込まれました。


一方、保険料抑制のための一般会計からの法定外繰入については「住民の理解を得ながら、計画的な解消・削減に努める」こととされ、市町村に赤字解消のための計画策定を求める考えも示されました。法定外繰入は100%市町村の裁量です。県が計画をつくらせること自体おかしな話です。


9月に発表された標準保険料率についての試算では全県で1012円、1.0%の引き下げという結果でしたが、最も上がる自治体では2万円近く、2割もの引き上げとなりました。県は保険料が上がる自治体の引き上げ幅を一定に抑える「激変緩和」を行いますが、今日の運営協議会で引き上げ幅を「県平均の伸び率+1年あたりの伸び率1%」とすることを決めました。


激変緩和についてはある委員からも、「人口比で言えば都市部が圧倒的に上がるところが多くなる。たとえ1000円でも保険料が上がれば収納率は下がる」と疑問の声が上がりました。そもそも激変緩和は広域化によって保険料が下がる自治体から財源を引き上げて、保険料が上がりすぎる自治体に再配分することにすぎません。6年間の期限付きで、全体が上がっていくなかで自治体間の凹凸をならしていくものです。


少ない財源のなかでやりくりするやり方ではどこかで矛盾をきたします。もともと全国知事会も求めていたように国に公費負担の引き上げこそ迫るべきです。


11月中に出される来年度標準保険料率の試算(国の仮係数による算定)はこれまでの試算とはまったく違う意味を持つものになります。この結果を注視しつつ実態に見合った運営の改善を求めていきます。