今月6日に設立されたLGBT自治体議員連盟。議連として初めて実施した研修会に岡田幸子県議とともに参加してきました。研修会は昨日、今日と行われましたが、昨日は議員団会議だったため参加は今日だけです。会場となった豊島区役所の区議会委員会室は入りきれないほどの盛況ぶりでした。


IMG_0121


今日は豊島区、文京区、世田谷区、中野区のLGBT施策について各自治体の担当者から報告をしていただき、あわせて豊島区ではLGBT当事者団体である「レインボーとしまの会」、世田谷区では議会でLGBT施策の前進のために力を尽くしてきた議連世話人の上川あや区議からも報告がありました。どの自治体でも区の基本計画や、男女平等(共同)参画条例や行動計画などにLGBT施策を位置づけ推進しています。


豊島区では2015年、議連世話人の石川大我区議の調査で区内の宿泊施設140施設のうち、約半数にあたる143施設で男性同士のダブルルームの使用を拒否していることが明らかになり、議会で是正を求めたところ区が改善指導を約束しています。議会での取り組みとあわせて、「レインボーとしまの会」では勉強会や交流会など楽しく気楽に続けられる活動を心掛けながらも、規約や事業計画をつくり行政からの協力を取り付けるなど社会的にも認知されてきたことが話されました。とげぬき地蔵で有名な巣鴨地蔵通りで協力店を募って、「としまレインボーウォーク」も開催しています。


文京区では男女平等参画推進条例に「何人も、配偶者からの暴力等、セクシュアル・ハラスメント、性別に起因する差別的な取扱い(性的指向又は性自認に起因する差別的な取扱いを含む)その他の性別に起因する人権侵害を行ってはならない」という条項を設け、まず職員・教職員向けの「対応指針」を作成して合意形成を図っています。また今年度から当事者・支援者向けに「文京SOGIにじいろサロン」を開始し、学習や情報共有を行っています。


IMG_0130
報告する上川あや世田谷区議


世田谷区では2015年11月から「同性パートナーシップの宣誓の取り組み」を行っています。同性カップルがパートナーシップの宣誓を行うことで区長名の宣誓受領証を交付するというものですが、今年度までに53組が宣誓しています。同性カップルであることでアパートやマンションの賃貸契約を拒否されたり、医療現場でも「家族ではないから」という理由で面会させてもらえないなど不当な扱いを受けるなかで、当事者団体から「同性同士で生活する者も家族として扱い、そのパートナーシップを承認してほしい」という要望を受け実現したものです。上川区議からは議会での合意形成、国へのはたらきかけを通じてDV電話相談や学校現場での研修実施や子ども向け相談、性別を問わないトイレ整備、そしてパートナーシップ制度など一つひとつ施策を実現させてきた貴重な経験が語られました。先月には全国で初めて公営住宅条例を改正し、同性カップルの区営住宅への入居も可能になりました。


中野区では「ユニバーサルデザインのまちづくり推進の取組」として、HIV患者への検査や相談体制の拡充を図っています。


IMG_0133
お昼のNHKニュースは会場でも放映され拍手喝采でした


各地の先進的な取り組みはどれも学ばされることばかりでした。マスコミも取材に訪れていたため、お昼のNHKニュースで研修会の様子が放映されました。


IMG_0136
渋谷区男女平等・ダイバーシティセンター「アイリス」で


午後は渋谷区の男女平等・ダイバーシティセンター「アイリス」に移動して渋谷区の取り組みについて説明を受けました。渋谷区では「ちがいを力に変える街」をコンセプトに、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と社会的包摂)をキーワードにした取り組みを進めています。2015年4月1日からは「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」が施行されました。それぞれの分野で多様性が交じり合い、それぞれの力を生かすことで新しい力が生まれるという考え方が根底にあります。


渋谷区ではにじいろ電話相談、コミュニティスペースなどとともに、世田谷区と同じく同性パートナーシップ制度を実施しています。世田谷区との違いは同性パートナーの権利保障の観点からより厳密な手続きを設け、「証明書」として交付していること。「任意後見契約」と「合意契約」という2つの内容の公正証書を作成・登記することが条件になっており、みずほ銀行が証明書によって同性カップルでも収入を合算して融資の条件とできるようにするなど実効性のあるものになっています。


先進自治体ではここまで取り組みが進んでいるのかと本当に驚かされました。そもそもLGBTはもちろん、女性や高齢者、障害者など、誰もが不当な差別や偏見に苦しめられることなくその人らしく暮らせることが必要です。渋谷区の条例前文には「日本国憲法に定める個人の尊重及び法の下の平等の理念に基づき」と明記されています。全国で唯一、男女共同参画条例がない千葉県としてまず何から取り組んでいくか。今までなかったからこそ、渋谷区のような先進的な条例にすることも可能です。各地の努力と当事者のみなさんの声に学んで、千葉県でも大いに取り組みを推進したいと思います。


研修会を準備された関係者のみなさん、お話しくださったみなさん、ありがとうございました。大変充実した研修会でした。