2018年度からの国民健康保険の広域化(財政運営の都道府県単位化)に向けて、第2回千葉県国民健康保険運営協議会が開かれ傍聴しました。


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1月に開かれた第1回運営協議会では国保運営方針の骨子粗案として前半の総論部分だけが示されましたが、今日は後半の各論部分として「国民健康保険の医療に要する費用及び財政の見通し」「保険料の標準的な算定方法」「保険料の徴収の適正な実施」「保険給付の適正な実施」「医療費の適正化の取組」の各項目案が示されました。


ところが国保財政の見通しとして「財政収支の改善に係る基本的な考え方と取組」の項目では、「原則として、必要な支出を保険料や国庫負担等で賄う」としながら「財政収支の改善に向けた取組などについては、引き続き検討する」とされました。ここには各市町村が行っている「法定外繰り入れ」についてどう記述するかという問題があります。


国保料の抑制のために県内市町村が一般会計から国保会計に繰り入れている「法定外繰り入れ」は、2015年度で総額151.6億円に上ります。県保険指導課長は、「法定外繰り入れの扱いについては市町村間で意見の幅がある。赤字であれば保険料を上げて解消すべきという意見もあるが、首長の政策的な判断で行っているものもあり、運営方針上もそれができるような余地を残してほしいという意見もある。運営方針への具体的な記述・表現については引き続き検討したい」と説明しました。


その後の議論のなかでは被用者保険代表の委員から、「首長の考え方によっては保険料を上げないで法定外繰り入れを続けることも可能だということになるのか」という意見が出され、また別の委員からは「国保財政が収支赤字の状況のなかで、保険料を適切な水準に引き上げ、応分の受益者負担としてほしい」などの意見票が提出されましたが、県は「法定外繰り入れによっていたずらに市町村の財政を圧迫するのはよくないが、運営方針上で解消を打ち出すのか、政策的判断を尊重するのかは引き続き検討させてもらいたい」と答えました。


同様に、市町村が県に納める事業費納付金の算定方法と、それをもとに算定される標準的な保険料の算定方法についても「引き続き検討する」とされました。こうした矛盾の根底には、国保の構造問題をそのままにして都道府県単位化を進めるという方針があります。2015年12月1日時点で県内の国保料滞納世帯は約246000世帯、全世帯の4分の1にも上ります。「所得250万円の自営業4人家族で年間の保険料が39万円」(千葉市)など、あまりにも高すぎる国保料が最大の要因です。ましてや国のガイドラインに基づいて法定外繰り入れを「解消すべき」となれば、さらなる保険料の引き上げをもたらします。


国は都道府県単位化にあわせ、「保険者努力支援制度」として、収納率の向上や重症化予防の取組などに努力した自治体に重点的に予算を配分する仕組みをつくっていますが(2016年度から一部前倒し実施)、こうした対策では根本的な解決にならないばかりか自治体間の「保険料取り立て競争」を煽るだけです。


根本解決は国庫負担の抜本的な引き上げしかありません。「総医療費の45%」を国庫負担でまかなっていた1984年の水準に戻すだけで全県で271億円の増額になります。これならいま市町村が行っている法定外繰り入れを解消してもおつりが来ます。国民皆保険制度を支える社会保障として本当の意味での国保改革に踏み出す時です。