9月定例千葉県議会本会議も最終日。自民党などから発議案として提案されている「千葉県AEDの使用及び心肺蘇生法の実施の促進に関する条例」について本会議質疑に登壇し、提出者に質問しました。AEDの普及促進を図る条例は、制定されれば茨城県に次いで2県目になります。


1609tera_1


救命・救助活動におけるAED=自動体外式除細動器の重要性は言うまでもありません。2004年に厚生労働省より「非医療従事者によるAEDの使用について」という通知が出され、医療従事者以外、つまり一般市民でもAEDを使用することが認められるようになりました。それ以来公共施設などを中心にAEDの設置が大きく進みましたが、一般市民によるAEDを使用した救命活動はまだまだ一部に留まっており大きな課題となっています。


そうした意味では「AEDの使用や普及の促進」という今回の条例案の趣旨には賛同できますが、条例案のなかにはそのまま見過ごすわけにはいかない点がありました。最大の問題は条例案第13条で、「AEDを使用し、又は心肺蘇生法を実施した者(=救助実施者)に対して提起された訴訟」について、県が「救助実施者に対する訴訟費用の貸付けその他の援助を行うことができる」としていることです。


そもそも、こうした条項が必要なのかどうかが疑わしいものです。いわゆる要救助者に対するAEDの使用や心肺蘇生法の実施は民法第698条の緊急事務管理に該当し、「管理者(=救助実施者)は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない」とされています。


AEDは音声ガイドに従って操作することで、電気ショックを与えるかどうかの判断も自動的に行われる医療機器であり、通常の使用方法で使用する限り重大な過失というのはそもそもありえないものです。現実にもこの間、AEDを使ったことでその責任を問うという訴訟は1件も提起されていません。


にもかかわらず、今回の条例案ではAEDを使用することによって救助実施者への訴訟が提起されることを前提としています。通常の方法でAEDを使用することで救助実施者が責任を問われることがないのは明らかであり、現実にもそうした訴訟は起こっていない-つまり「立法事実」がないのにこうした条項を設けるのは大きな矛盾です。


さらに条例案第14条では訴訟費用の貸付金の返還について規定されていますが、2項では「当該訴訟が棄却その他の理由により終了し、当該訴訟に要する費用の貸付けを受けた救助実施者が違法な行為をしたとは認められないとき」には、「当該貸付金の全部又は一部の返還を免除することができる」とあります。


AEDを使用したことで訴訟が提起されることもありうるし、勝訴すれば良いけれども敗訴することもありうる、そしたら貸付金は返してくださいというのでは、AEDを使って救命活動を行おうという県民のみなさんはますます不安になってしまいます。かえって条例の目的を損なうことになりかねません。


AEDの使用や普及の促進は大切な課題であるだけに、県民が安心して使えるようにAEDの使用については刑事にせよ民事にせよ、通常の使用方法であれば責任を問われることはありえないということこそはっきりと打ち出すべきではないでしょうか。引き続き12日の健康福祉常任委員会でも審議を続けますが、まずは本会議で問題点を質しました。