6月定例千葉県議会は今日が最終日。日本共産党県議団を代表して議案・請願についての討論に登壇しました。


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その後、採決が行われ、県レベルでは全国7番目、ろう者のみなさんが待ち望んでいた「千葉県手話言語条例」が成立しました。また議長・副議長も新たに選出され、常任委員会の構成も変わりました。


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県議会が閉会し、明日からいよいよ参議院選挙の公示です。日本共産党は午前10時から千葉駅クリスタルドーム前で、浅野ふみ子千葉選挙区候補、椎葉かずゆき比例候補が第一声を行ないます。斉藤和子衆院議員、安保関連法に反対するママの会@ちばの村田マユ子さんも応援の訴え。歴史的な参議院選挙のスタート、ぜひ千葉駅にお越しください。


今日行なった討論は以下の通りです。


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日本共産党を代表して議案・請願の主なものについて討論を行います。


議案第6号から第8号は、保育所、認定こども園、幼保連携型認定こども園のそれぞれで、職員の配置基準について資格要件を緩和しようというものです。深刻化する保育士不足への対応として、朝夕など子どもが少ない時間帯や加配人員については、保育士などの資格がなくても配置できるようにするとしています。しかし最低基準というのは文字通り最低限守らなければならない基準であり、簡単に引き下げてよいものではありません。たとえば保育所で常時2人以上の保育士の配置を求めているのは、子どもに事故があったり保護者への対応などに1人が関わっている間にも、もう一人の保育士によって保育の質を確保するためです。保育士配置が3分の1でよい認可外施設では、死亡事故の発生率は認可保育所の60倍に上るという指摘もあります。事は子どもの命がかかった問題です。保育士の専門性を否定し、保育の質を犠牲にする規制緩和は絶対にやめるべきです。よって議案第6号から第8号に強く反対いたします。


発議案第1号は「千葉県手話言語等の普及の促進に関する条例」、いわゆる手話言語条例を制定しようとするものであり、これに異論をとなえるものではありません。ろう者のみなさんにとって、手話が言語として認められることは画期的なことであり、社会的に差別を受けることなく暮らせる環境をつくるうえで大きな役割を果たすものです。それだけに県の役割と責任はきわめて重要です。鳥取県ではろう者団体のみなさんも加わる「手話施策推進協議会」を設置し、手話等の普及・促進に向けた計画を推進するための手立てを講じています。また手話通訳者や要約筆記者などの養成と処遇の改善、それらを含む手話施策の推進のための財政上の措置など、県の責任を明確にすべきことを申し添え、発議案第1号に賛成いたします。


次に請願についてです。


請願第38号は、松戸市内で進められているパチンコ店出店計画に対して、子どもと住環境を守り安全安心、活気ある街づくりを求めるものです。特に請願項目1では、「住民や市民との十分な協議や理解のないまま、営業許可を下ろさないこと」を求めており、きわめて重要です。住民のみなさんはこの事業者に対する不信が募っています。事業者による住民説明会では、看板の大きさ、ネオンの明るさ、外観の詳細についても説明がなく、後日送られてきたのはまったく別の店の外観図でした。また5階建てとされた計画がいつのまにか6階建てに変更されていました。さらに重大な疑義がある風営法上の営業距離規制について、事業者は「警察と事前に相談しており、規制はクリアしている」と説明しているのに、警察本部長は「事業者と事前に協議することはありません」と答弁するなど、双方の言い分が食い違ったまま建設工事を着工しています。これでは到底納得できるわけがありません。本請願の全項目を採択し、住民の理解と納得を大前提にすべきです。


請願第39号から第41号は、保育料の低減化、保育士の処遇改善、公立保育所運営費等の一般財源化を廃止し直接補助制度に戻すことについて、それぞれ意見書の提出を求めるものです。県内の保育士登録者数は約54000人、そのうち保育士として働いているのは約14000人であり、いわゆる潜在保育士が約40000人も存在しています。なぜ潜在保育士のみなさんが資格を持ちながら保育士として働かないのか、理由ははっきりしています。保育士の転職・就職支援を行うインターネットサイト「保育士バンク!」が今年1月に行なった潜在保育士への調査によれば、全体の9割以上が保育士としての仕事に「やりがいを感じていた」と答えているにも関わらず、退職した理由の1位は「お給料が安かったから」というものです。何が改善されればもう一度保育士として働こうと思うかという質問にも「お給料」と答えた人が82.9%と断トツに多く、2位が「就業時間」で62.8%でした。復帰できない要因が低賃金と過酷な労働条件にあることは明らかであり、ここに手を打たなければ保育士不足は解消しません。全産業平均で月額10万円も低いと言われている保育士の賃金を抜本的に引き上げることが必要です。
また待機児童の解消のためには公立保育所の拡充が決定的です。2004年から行われた公立保育所の運営費・整備費の一般財源化によって、公立保育所の廃止や民営化が進められ減少の一途をたどってきました。県内でも2006年からの10年間で公立保育所の定員数は1121人も減少し、待機児童の解消に逆行する事態になっています。病気や障害を持つ児童を広く受け入れてきた公立保育所の役割はとりわけ重要であり、いっそうの拡充こそ求められています。本請願の採択を求めます。


請願第42号は就学援助制度の拡充を求めるものです。子どもの貧困が深刻化するなかで就学援助制度の役割はますます大きくなっています。ところが貧困世帯にとって小学校・中学校への入学時の支出が大変な負担になっているにも関わらず、多くの自治体では入学準備金が入学前に支給されません。入学時には制服代や体操服など、まとまった出費があるのは当然であり、「せめて入学準備金は入学前に支給してほしい」というのは当然の願いです。福岡市では就学前健康診断や、市の広報、ホームページなどで就学援助制度についてお知らせし、3月に準備金が支給されるシステムにしています。これは特別な予算も必要なく、各市町村に働きかけることで改善は可能です。よって本請願を採択するよう求めます。


請願第45号は、中小業者の家族従業者の働き分を必要経費と認めない所得税法56条廃止の意見書の提出を求めるものです。所得税法56条をめぐって今年3月7日に出された国連女性差別撤廃委員会の総括所見では、「所得税法が個人事業者や農業従事者の配偶者や家族の所得を必要経費と認めておらず、女性の経済的自立を妨げていることを強く懸念する」、「家族経営における女性の労働を認めるよう所得税法の見直しを検討するよう求める」と述べられています。また千葉県税理士会が3月に明らかにした「平成29年度税制改正に関する意見書」でも、「社会の構造、就業形態、家族のあり方までもが著しい変化を遂げている」と所得税法56条の廃止を求めています。これ以上、所得税法56条の廃止を先延ばしすることは許されません。中小業者支援のためにも速やかに請願を採択するよう求め、以上で討論を終わります。