衆議院の選挙制度に関する調査会が14日、現行475の衆院定数を10削減(小選挙区6、比例代表4)するという答申を衆院議長に提出しました。この答申には重大な問題があります。


選挙制度答申について①
15日付「しんぶん赤旗」より


この間、「身を切る改革」などと言って各党が議員定数の削減を選挙公約に掲げてきましたが、今回の答申でも「国際比較や過去の経緯からすると(定数は)多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠を見出し難い」と認めています。定数削減の答申に道理はありません。そもそも議員定数は政党や政治家個人の所有物ではなく、議会と国民を結ぶパイプです。


日本の議員定数はいまでも国際的に見て最も少ない水準にあります。人口10万人あたりの議員数(下院)は0.37人でOECD加盟国34ヶ国中33位です(34位は連邦制国家の米国)。さらに削減して465議席ということになれば戦後最も少ない議席数になりますが、過去一番少なかった1946年(定数466)当時の有権者数は約3700万人、いまは1億人と約3倍です。対有権者比で議員数は3分の1に激減ということになります。


問題は議員の数ではありません。多くの有権者の民意が政治に届かない仕組みである小選挙区制にこそ根本問題があります。一昨年の衆議院選挙でも自民党は4割台の得票で7割を超える議席を得ました。有権者全体から見ればわずか17%の得票率です。まさに「虚構の多数」です。


選挙制度答申について②


戦争法や消費税、沖縄新基地建設、原発再稼働など、世論調査では国民の過半数が安倍政権の主要政策に反対なのに、国会のなかの議席数が見合っていない最大の原因はここにあります。


「1票の格差」の解消のためにも、民意を正確に議席に反映させるためにも、比例代表中心の選挙制度もしくはかつての中選挙区制度に戻すなどの抜本的改革が必要です。そして政党・政治家が「身を切る」と言うのなら年間320億円の政党助成金こそ真っ先に廃止すべきです。