今年も残すところあと3日。今日はしんぶん赤旗の購読の呼びかけとともに県営住宅についての相談を受けました。詳しくは言えませんがあまりにも理不尽なことに悩まされているというものでした。トラブルに対する県(住宅供給公社)の態度もひどいものです。年明け早々に対応することにしました。


さて、12月18日に行なった県議会閉会日の議案・請願についての討論についてあらためて紹介します。県議会に来て驚いたことの一つですが、こうして閉会日に討論をするのも日本共産党と市民ネット・社民・無所属くらいです。他会派では常任委員会での審議を含めて、何の質問も討論もせずに議案や請願に反対するということも多々あります。これでは県民は納得できません。県民の監視の目が行き届く県議会にしたいですね。


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日本共産党を代表して議案、請願の主なものについて討論を行います。

 まず議案第1号は一般会計補正予算案です。指定管理に関わる債務負担行為の追加と繰越明許費を設定するものですが、繰越明許費は県土整備部だけで23事業・81億2,200万円に上ります。内容についても、たとえば広域河川改修事業は7河川で繰越明許費が設定されており、その額は現計予算54億円に対して繰越が23億円と43%にも上っています。そして7河川のなかで繰越額の比率が最も高いところは何と99%だということです。つまり予算計上されたけれどもまったく執行されずにそのまま繰り越すということであり、単年度会計原則を逸脱するまさに異常な事態だといわなければなりません。よってこうした補正予算案を認めるわけにはいきません。

 議案第7号は、教員の特殊業務手当について引き上げをはかるものです。部活動を指導している先生などへの手当である特殊業務手当を引き上げることは必要ですが、問題はその財源です。引き上げに必要な3億4,000万円を、特別支援学校や特別支援学級の先生への給料の調整額を減額して捻出しようというのです。特別支援教育に携わる先生は、地域の各学校の相談を受けるなどその責任や業務量が増加しています。調整額を減額する根拠はまったくありません。こうしたやり方はやめるべきです。関連して部活動指導手当についても、2012年度から千葉県だけが1日に6時間を超えた場合に手当を増額する措置を取っていますが、この間土日祝日に部活動を1日6時間以上指導している先生は13%から14.5%に増加しています。手当を増額すれば良いということではありません。部活指導の過熱化、教員の多忙化を解消する手立てを早急に取ることが必要です。よって議案第7号に反対します。

 議案第8号は、再任用のフルタイム職員の増加を見込んで県職員の定数を290人増やすというもので、これに異論はありません。しかし問題は、この間の定員適正化計画によって知事部局だけでも3,000人をはるかに超える職員の削減が行われてきたことです。非正規職員の比率も大きく増加しており、異常な長時間労働も常態化しています。県職員の労働条件改善のためにも正規職員こそ抜本的に増やすべきです。よって議案第8号に反対します。

 議案第13号は主に、風俗営業等の規制からダンスクラブが外れたことに伴い、新たに特定遊興飲食店営業に関する規定を新設するものです。ダンス規制の見直しを求める国民・関係者の運動により風営法が改定され、ダンスクラブなど客にダンスをさせる営業が「風俗営業」の規制対象から除外されました。その一方で、深夜に酒類を提供し、かつダンスを含む「遊興」をさせることが「特定遊興飲食店営業」として新たな規制の対象になりました。ところが「遊興」の定義が非常に曖昧であり、ライブハウスやピアノの生演奏、マジックなども含まれることになるとされています。これでは警察の恣意的な介入や権力の乱用を招く恐れがあり、健全なクラブ文化の芽を摘むことになってしまいます。ミュージシャンの坂本龍一氏は、「クラブ文化の取り締まりは時代錯誤で日本文化の破壊」だと話しています。こうした過剰な規制拡大はすべきではありません。よって議案第13号に反対します。

 議案第21号、22号は救護施設松風園、および救護盲老人施設猿田荘を民間移譲することから条例を廃止するものです。どちらも重要な役割を持つ県の福祉施設ですが、この間恒常的な赤字が続いていました。民間移譲に伴って民間施設給与等改善費などが支給されますが、たとえ満床になったとしても赤字分は埋まらず、結局人件費や事業費を圧縮せざるを得ません。そうなれば、入所者の生活環境の悪化や介護サービスの低下が避けられないことは明らかです。そもそも福祉施設は経済効率や財政削減効果などという視点で見るべきものではありません。利用者へのサービスの質を確保するためにも引き続き県が運営に責任を負うべきです。よって本議案に反対いたします。

 議案第28号は、首都高速道路の料金体系を来年4月から対距離制に移行するために議会の同意を得ようというものです。国交省が9月に示した「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針」では「環状道路よりも都心通過料金(首都高料金)が安くならないように」と明記されており、圏央道の料金を首都高並みに引き下げることが、今回の改定の目的になっています。一方で京葉道路の料金については首都高並みに引き上げるとされています。膨大な建設費を要した大型道路のしわ寄せが、まわりまわって国民負担に跳ね返ってくるということであり、到底認められるものではありません。

 次に請願についてです。請願第29号、30号はいずれも教育予算を抜本的に拡充することを求めるものです。

 29号は「2015年度ゆきとどいた教育を求める請願」です。子どもの貧困が6人に1人にまで広がっているなかで、お金のあるなしで教育を受けられないということがあってはなりません。2012年に政府が国際人権規約の「中等・高等教育の漸進的無償化条項」を留保撤回したことを生かし、学費無償化の実現に向けて政治が責任を果たすべきです。同時にいまある制度を充実させることはいますぐにでも求められています。ところが就学援助制度は各市町村で内容がバラバラであり、高校段階で始まった奨学のための給付金制度も対象が大変狭いものです。就学援助の利用者は全県平均で8.7%であり、子どもの貧困率16%にも届いていません。また少人数学級については、県議会で過去2度に渡って「25人程度の学級編成を」という決議が上がっているにも関わらず、この3年間まったく進んでいません。

 この請願は今年も10万を超える署名が添えられており、これは特筆すべきものです。これほど多くの県民の強い願いを、ことごとく葬り去るような県議会であってよいはずがありません。主権者・県民から負託された議員、県議会としての良識が問われているのではないでしょうか。多くの県民、教育現場からの「ゆきとどいた教育を」という声に応え、県の責任で誰もが安心して学べる環境を整備すべきです。

 請願第30号は私立幼稚園に対する私学助成の大幅増額を求めるものです。両請願の採択を強く求め、以上で討論を終わります。